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任せることは、手を抜くことではない。会社を大きくする「権限移譲」

ビジネス

任せることは、手を抜くことではない。会社を大きくする「権限移譲」

会社が小さいうちは、社長が何でもできます。

営業。

採用。

現場管理。

トラブル対応。

取引先との交渉。

資金繰り。

会社の規模が小さければ、社長一人の判断力と行動力で会社を前に進めることもできます。

しかし、会社が大きくなればなるほど、

「自分でやった方が早い。」

という考え方が、逆に会社の成長を止めるようになります。

前回の記事では、

「会社は社長が作るのではない。仕組みが作る。」

という考え方についてお話ししました。

仕組みを作った次に必要になるのが、

人に任せることです。


任せるのが怖いのは当たり前

自分で作った会社です。

自分で営業して。

自分で案件を取って。

自分で問題を解決して。

少しずつ会社を大きくしてきた。

だからこそ、

「本当に任せて大丈夫なのか。」

と思うことがあります。

自分なら10分で判断できる。

自分なら取引先の意図が分かる。

自分ならもっと早く対応できる。

そう思えば思うほど、自分で仕事を抱えてしまいます。

しかし、それを続けている限り、

会社の成長速度は社長一人の処理能力を超えることができません。


「自分でやった方が早い」は会社を止める

確かに最初は、自分でやった方が早いです。

人に説明するより、自分でやる。

教えるより、自分で処理する。

確認するくらいなら、自分で動く。

短期的に見れば、その方が効率的です。

しかし、それを1年続けたらどうなるでしょうか。

社長に仕事が集中します。

社員は判断できない。

何かあるたびに社長へ電話する。

社長の承認がなければ仕事が進まない。

そして最後には、

社長自身が会社のボトルネックになります。

これは、会社を拡大するうえで非常に危険な状態です。


任せることと、丸投げは違う

ここで重要なのが、

「任せる」と「丸投げ」はまったく違う

ということです。

「今日から全部よろしく。」

これは権限移譲ではありません。

任せるためには、

  • 目的を伝える
  • 判断基準を共有する
  • 権限を決める
  • 報告ルールを決める
  • 結果を確認する

という仕組みが必要です。

例えば、

「売上を上げてください。」

だけでは、人によって判断が変わります。

しかし、

「このエリアで、この利益率を守りながら、この品質基準で案件を増やす。」

ここまで目的と基準を共有すれば、判断しやすくなります。

任せるとは、仕事を渡すことではなく、判断できる環境を渡すことです。


失敗させないことが教育ではない

人に任せれば、当然ミスも起きます。

自分だったらしなかった判断をすることもあります。

そこで社長が、

「やっぱり俺がやる。」

と全部取り上げてしまえば、その人はいつまでも育ちません。

もちろん、お客様へ重大な損害を与えることや、会社の信用を失うような失敗を放置してはいけません。

しかし、

会社が許容できる範囲の失敗までゼロにしようとすると、誰にも仕事を任せられなくなります。

大切なのは、

失敗しない人を作ることではなく、失敗から改善できる人を育てること。

だと考えています。


社長が全部手放せばいいわけでもない

では、社長は何もしなくていいのか。

もちろん違います。

私自身、会社を拡大する局面では、完全に現場から離れるべきだとは考えていません。

新しい営業所。

新しい案件。

新しい事業。

新しい管理者。

立ち上げの段階では、経営者自身が伴走することも必要です。

なぜなら、

会社の方向性や判断基準は、最初から完璧に共有できるものではないからです。

一緒に考える。

一緒に判断する。

一緒に失敗する。

そして、徐々に任せていく。

「任せる」と「放置する」は違います。


社長にしかできない仕事は残す

会社が成長しても、経営者が手放してはいけない仕事があります。

例えば、

  • 会社の方向性を決める
  • 大きな投資判断
  • 資金調達
  • 重要な取引先との関係構築
  • 経営幹部の採用・育成
  • 新規事業の判断
  • 会社の文化を作る

こうした仕事です。

日々の業務を任せる目的は、

社長が楽をするためではありません。

社長にしかできない仕事へ時間を使うためです。


経営者は「仕事」を減らして「責任」を増やす

会社が大きくなると、

社長自身が処理する仕事は減っていきます。

しかし、責任は逆に大きくなります。

社員が判断したこと。

管理者が決めたこと。

現場で起きたこと。

最終的な責任は経営者にあります。

だから、

「任せたから知らない。」

ではいけません。

仕事は任せても、責任まで任せてはいけない。

これが経営者だと思っています。


B-3で話した「管制塔」につながる

以前の記事で、

「経営者は飛行機を操縦する人ではない。管制塔である。」

という話をしました。

飛行機を操縦するのはパイロットです。

管制塔が操縦席に座ってしまったら、空港全体を見る人がいなくなります。

会社も同じです。

営業担当には営業を任せる。

管理者には現場を任せる。

ドライバーには配送を任せる。

そして経営者は、

案件。

人。

資金。

銀行。

取引先。

新規事業。

会社全体を見ながら、次にどこへ進むのかを判断する。

だからこそ、

任せる力は、会社を大きくするための経営能力の一つ

だと考えています。


会社が社長を超えた時、本当の組織になる

社長より営業ができる人。

社長より現場管理ができる人。

社長より採用が得意な人。

社長より数字に強い人。

そんな人が会社の中に増えていく。

私は、それでいいと思っています。

むしろ、

社長より優秀な人が、それぞれの分野で活躍する会社の方が強い。

社長一人の能力で100点を目指すのではなく、

それぞれの得意分野を持った人たちが集まり、会社全体で1,000点を目指す。

それが組織です。


まとめ

会社を大きくするためには、

社長自身が仕事を抱え続けるのではなく、人に任せる必要があります。

ただし、

丸投げではない。

放置でもない。

仕組みを作り、

判断基準を共有し、

最初は伴走し、

少しずつ権限を渡していく。

そして、

仕事は任せても、責任は経営者が持つ。

私はそれが、本当の権限移譲だと考えています。

「会社を大きくしたいなら、自分ができることを増やすのではなく、自分がいなくてもできることを増やす。」


前回の記事

今回の「任せる」という考え方の前提になるのが、会社の仕組み化です。

会社は社長が作るのではない。仕組みが作る。


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